うまいこといえない。

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続・キズナと二人の騎手のこと

 

引退後、哲三さんの口からキズナについて語られることがたびたびあって、心躍る半面少し淋しく思える。
かつての主戦としてではなく、同馬に憧れるひとりの競馬ファンとしての目線を強く感じるからかも知れない。

 「もう僕が乗るわけではないので、ユタカさんに迷惑をかけるわけにもいかない」

自身にとって“特別な馬”キズナとの新たな関わり方について訊ねられた際の言葉が思い起こされる。
騎手時代、主戦であった頃との決別を意味する言葉。
哲三さんが今もキズナと関わりつつけることを、武豊騎手を応援している方、あるいはコンビとして応援している方はどう感じるものなのか。
誰とはなしに問いかけてみればきっと、予期したとおりの答えが返ってくるだろう。

「お馬ちゃんに元気をもらいに」
トレセンに行った次の日のリハビリは、動かないはずなのに、不思議と身体が動く」

闘病中(厳密にいえば現在もなおリハビリを続けているはず)も競走馬たちとのふれあいに救われてきたという哲三さん。
キズナとの関わりが氏を守る力となっていることは想像に難くない。

 「キズナを可愛いと思った」

引退会見で語られた言葉が示すとおり、愛馬を語る氏の表情は穏やかで優しい。