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うまいこといえない。

うまいこといえないひとがつたないなりに何かを残し誰かに伝えたいブログ。

アップトゥデイト春秋連覇!中山大障害2015

競馬

障害競走を愛好しはじめてからというもの、年に二度行われる中山JG1観戦が大きな楽しみとなっている。
今年は特別な想いとともに応援幕を携えて現地入りした。

 

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春の中山グランドジャンプを制したアップトゥデイトはその後小倉サマージャンプをも貫禄の勝利をおさめるも、レース中に外傷を負っていたとのことで調整に苦しみ、次走に予定していた東京ハイジャンプを回避。
これにより暮れの大一番にして最大の目標、中山大障害へはじつに5ヶ月休養明けからのぶっつけ本番で臨むこととなってしまった。
しかも14頭中13番の大外枠。
障害競走はある程度隊列がバラけるとはいえ、先行したいアップトゥデイトにとって決して有利な枠順とはいえない。
最大のライバルは、障害競走に転向してから東京ハイジャンプを含む無傷の5連勝からJG1タイトル奪取を狙うサナシオン
前哨戦のイルミネーションジャンプステークスをも快勝し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。
逃げて負けなし、軽量のスピード自慢。
同じく前々でレースを運ぶアップトゥデイトとは同型の脚質である。

アップトゥデイト陣営が狙うは春秋JG1連覇と、JRA賞最優秀障害馬の受賞。
傾向と戦績からしてサナシオンが優勝すればアップトゥデイトの選出はかなり難しいものとなる。
最低でも勝ち負け。
これは厳しい戦いになるぞと、部屋で応援幕を縫いながら私は一人で勝手に気負っていた。

もっともこういうときにこそ思いもよらぬ伏兵が台頭してくることもあるし、ことジャンプレースというものはゴールの瞬間まで何が起こるか分からない。
大障害コースともなればリスクも格段に高まる。
勝ち負けよりもまずはみんなの無事を!という本音と、でもアップトゥデイト勝ってほしい!という願望とのせめぎあいの中、いよいよ決戦の日はおとずれた。

 

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パドックを周回するアップトゥデイト
いつものように時折目を細め、首を傾けながら物見をしている。 
とても賢く、慎重で繊細な馬なのだとか。

 

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佐々木師と同助手が見守るなか、林満明騎手が騎乗。

 

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人馬ともに緊張の面持ち。 気合い十分。

春秋連覇。
3着には、初の大障害コースを果敢に攻めたサナシオン
2着には、障害キャリアわずか二戦目にしてJ・G1に挑んできたエイコーンパスが入線。
追い出すタイミングはいつもより早くなかった。
それがライバルたちの強さを如実にあらわしていた。
少し太目残った巨体が抜群の安定感で障害をクリアしていき、最後の直線で弾んだ。
経験とスタミナの利を最大限に活かした勝利だった。
いつもの4角をゴールに見立てたロングスパートが決まれば。
サナシオンを見ながら気持ちよく行くことができれば。
超長距離のこのコースで消耗戦に持ち込めたら、どの馬もこの馬には決して敵わない。
自信に限りなく近い信頼があったにもかかわらず、不覚にもゴールの瞬間まで勝利を確信することができなかった。
ゴール板を越えてターフビジョンに大写しになった人馬の姿をみとめて、ようやっと息を吐いた。
遅れて涙がにじんできた。

 

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サナシオンとともに引き上げてきたアップトゥデイト

 

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ファンからの声援に応える林騎手。
癖なのか、何故か目をつぶっているアップトゥデイト

 

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私は先生のこの笑顔が見たかった。

 

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担当馬の健闘を喜ぶ佐々木助手。

 

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そして、ねぎらいと称賛の愛撫。

 

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優勝レイをまとっての凱旋。

 

佐々木調教師の談話によれば、アップトゥデイトは来年の阪神スプリングジャンプから始動して中山グランドジャンプを目指す予定とのこと。
名実ともに絶対王者となった彼に立ちはだかるライバルたちは強力であるし、まだまだこれから新勢力の台頭もあるだろう。
追われる立場となったアップトゥデイト
いつものごとく無事と順調を、そして最善を。
願わくば栄光を。
この場を借りてあらためて、何度云っても云い足りない「おめでとう」と「ありがとう」と「大好き」を。

そして最後に。
このレースで競走を中止し、残念ながら予後不良となってしまったアポロマーベリックについて。
初めて現地で中山大障害を観戦した年の勝ち馬が彼だった。
馬券も獲らせてもらった。
グッドルッキングホースであり、飛越の巧いかっこいいチャンピオンだった彼。
すべてを知ったのはレースが終わり喜びにわいた少し後だった。
馬をうしなうことには慣れない。
別れはいつでも辛く悲しい。
しかし「障害で走ったから…」とうらみ嘆くのではなく、「障害競走があったからこそ」彼は新たな舞台で輝けたのだ。
わたしたち競馬ファンは彼のような素晴らしい名ジャンパーに出会えたのだと思いたい。
幸いにも私は彼の最後の雄姿をこの目で間近に見ることができたのだ。
いつまでも忘れず、時折は深く思い出して、競馬場をおとずれた際には馬頭観音に手を合わせようと思う。

アポロマーベリック、おつかれさま。ありがとう。
そしてさようなら、安らかに。