うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

決戦前夜。アップトゥデイト、三度目の春へ

闘うために生まれてきた馬。
私が現障害王者オジュウチョウサンに抱くイメージだ。
たとえるならば戦車。
圧倒的な力をもって、立ちはだかるものをなぎ倒しながら前進する。
生来の闘志にくわえて飛越という武器を手にした戦士ともいえる。
これから立ち向かうことになる最大のライバルだ。

アップトゥデイトを形容するならば、どんな言葉が相応しいだろうか。
スタミナ?先行力?巧みな飛越?
どれも的確でいて、今ひとつ足りない気がする。
言葉ではとてもいいあらわせないのだ。彼の強さの魅力、その正体は。

障害転向後、順調に勝ち上がったり勝ち負けをしながら、障害重賞初挑戦となった阪神スプリングジャンプ4着を足がかりに、こちらも初挑戦となった中山グランドジャンプ制覇を彼がやってのけたとき、私はいまだかつてないほどに胸が高鳴った。
競馬を観てきてたくさんの馬やひとに数え切れないほどワクワクさせてもらったが、これまでにない種類のときめきだった。
新馬のころから見知っていた情もあったのだろうが、一番は未知への挑戦と開拓。
見事に自らの脚で道を切り開いた王者のひたむきな強さへの驚きと敬意、新たな世界が目の前に拓けていく喜びと興奮だった。

アップトゥデイトは駆け、跳びつづけた。
数々の好敵手を得ながら。人びとを魅了しながら。
ときに悩み苦しみ、ときに闘争心を剥き出しにしながら。
一度目の春で障害王者となり、二度目の冬で王者の座を譲り渡し、そして三度目の春を迎え、今また私は、あのころと同じときめきを胸に抱いている。
もう一度、何度でも、ワクワクしたい。
現に今、このうえない期待に胸躍っているのだ。

阪神スプリングジャンプ
三度目のこの日も笑顔で迎えたい。
いつのときも、いつものように、彼と彼をとりまく陣営の最善と最良を願ってやまない。

 

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