うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

努力と勝利のお話

今年も“この時期”がやってくる。
3歳未勝利戦を見ていると、“努力と勝利の関係”について考え込まずにはいられない。
馬も人もみんな勝ち上がるためにがんばっている。
みんなが揃って勝ち上がることはできない。
席の関係上、がんばっても勝ち上がれない馬のほうが圧倒的に多い。
勝ち上がれる馬は、ほんの一握り。

それなりの年月をかけて、この世界で報われないことの意味と大きさを知ってしまった。
思い入れと現実とは、大体かけ離れているものだ。
どうかどうかあなたは報われてほしいと競馬の神様のようなものに毎週祈りながら、自分が戦っているわけでもないのに、なぜこんなに苦しいのかと自問自答する。
競馬を通して、勝ち上がった馬たちの、あるいは栄光を手にした人馬の、努力が報われるさまをずっと見てきた。
これからも見ようとしている。
だから苦しいんだろう。
努力が必ずしも望む形で報われるわけではない現実が。
ひとは時に報われない愛を抱くこともある。

努力とは、勝利を保証するものではなく、挑戦する権利を得るためのものなのかもしれないとこの頃は思う。
みんなが当たり前のように努力をしているその中から、突き抜けられる力の正体とはなんだろう。
最後の決め手はほんの少しの運だったり、タイミングだったりするのかもしれない。
そういう掴みうるすべてを掴むための、日々のがんばりなのだ。
一握りの勝者となるために。
だからこそ勝利は尊い
勝利を目指して己を高め、果敢に挑んだものたちもまた、同じく尊い
このことを私は絶対に忘れたくないし、たとえ苦しくとも、想い願い祈ることを諦めたくないのだ。