うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

300勝

勝利の山だ。
8月16日小倉競馬場、最終レースRKB賞。
サンキュー号が堂々と、先頭でゴール板を駆け抜けた。
この日この時を同じ場所でわかちあいたかったけれど、それはわたしの想いでしかないのでいったん置いておこう。
 
今年度の勢いと充実ぶりを見ていると、サウンドキアラ号と松山弘平騎手との再コンビ結成がひとつの転機になったように感じる。
佐藤哲三騎手と砂の雄エスポワールシチー号のときのことを少し思い出している。
あのときも、大変だったけれど最高だった。
もちろんそうでないときも好機をうかがいながら、地道にこつこつと、数え切れないほどの努力と最善を積み重ねてきた。
だからこそ可能性を秘めた馬と出会ったときにはチャンスを逃さないし、馬を育て、人を信じて託すことができるのだろう。

わたしは安達厩舎を応援している。
馬も、人も、チームとしても。近しいジョッキー、ホースマンたちも。
一言ではいいあらわせないさまざまな縁が重なりあって、今そうなっている。
嬉しいことよりも、悔しかったことのほうが多いかもしれない。
苦しくて悲しい別れもたくさんあった。
厩舎に貢献しつづけた馬たち、勝ち星のひとつになれなかった馬たちのことも覚えている。
だからこそ、こういう節目に喜びがとめどなくあふれてくる。一週間のあいだかみしめていた。
わたしはあくまで柵の外の人間なので、目に見えている完成された綺麗な部分と、ときどき記事などでもたらされるほんの少しの舞台裏のことしか知りえないが、目に見えるところから見えてくる気がするのだ。
彼らの仕事と、馬や人との向き合いかたが。
控えめだけれど真摯で、地道だけれど着実で、現世に生ける職人たちだとわたしは勝手に思っている。

馬たちもゆかりの血統が多くてかわいい。
先日はキアラの妹レベッカも未勝利戦を勝ちあがった。
見ているだけで面白いのだ。
その面白さは、常に困難と表裏一体でもある。
彼らはあえて難しい道を選んで進んでいる。
だからずっと応援していきたい。応援していく。次は301勝目へ向けて。

祝福と、感謝と、これからもどうぞよろしくお願いしますの想いを込めて。
今も昔も未来もきっと、大変だけれど最高だから。

 

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