うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

生きてたんならよかった

ずっと忘れられなかった別れがある。
やりとりや受けとめかたのつたなさとか、気持ちのすれちがいでおそらく傷つけてしまったであろう人がいたんですが。
それによって相手の信念だったり生きがいを奪ってしまったのかもしれないとも、こちらは勝手に思っていて。
信念を奪うということは殺したも同然。
わたしには親密に人づきあいをする資格もないのではと、ずっと自問自答してきた。
その人がどうやら元気でいるらしいと風の便りで知ることができたので、この件はもう整理して区切りにしようなどと思いつつ。

わたしは赦されたかった。
でも赦していなかったのはわたしのほうだったのかもしれない。
ほんとうはうらんでいたのかもしれない。
どうして信頼してくれなかったのかと。
ただわたしが信用するに足りない人間だっただけのことなのかもしれないのに。
すべては憶測にすぎない。なにも語られなかったのだから。
なにもわからないまま友情のようなものは消えてしまった。
だからどう償い、どう悔いて、どう教訓とすればいいのかもわからなかった。
ただ人の心を信じすぎていたんだろう。
話せばわかるのにと。
なのに話してくれなかったと。
ただの執着で、ただのうらみになってしまっていた。
どこかで元気でいてくれさえすればいいと思いながら。

人と人は、必ずしも関わりあわなくてもいいし、深くまじわる必要もなくて。
お互いが、こっちが勝手にでもいいんだけど、ああ生きてるんだな、元気なんだなと思えるだけで嬉しい。
そう思える人がいる。ただそれだけでいい。
知ってほしいわかってほしい関わりたいというのは、お互いに同じ気持ちを持っていなければエゴだ。
何も知らなくても、知ってもらえなくても、関わりあえなくても、思い出のすべてが消えるわけではないし、ああいうことがあったなぁとたまには思い出したりしながら、ひとりで生きていくだけ。

生きてたんならよかった。
だからといって赦されたなんて思っていない。
人と関わるのがさらに怖くなって、あきらめの境地にまた少し近づいただけだ。