うまいこといえない。

うまいこといえないひとがつたないなりに何かを残し誰かに伝えたいブログ。

夢の馬だった

ついにこの日がきた。
阪神カップを見届けてからというもの、気がかりなままの年越しとなった。
あのレースがそのままラストランとなった。
サウンドキアラが競走馬を引退したことを、年が明けてから競馬ニュースで知った。
まだやれたという気持ちと、もう充分という気持ちと、淋しいという気持ちと、ほっとした気持ちと。
喜び感謝しなければならない。無事に競走生活を全うできたのだから。
でも、まだ実感がわかない。
新馬戦を勝ち、重賞を3つも勝ち、G1に6回も出走した。
華やかながら、苦労も決して少なくなかった現役生活。
申し分なかったとふり返りながらも時々は夢想してしまう。
もしも抽選に通って阪神ジュベナイルフィリーズに出走できていたら?
もしも京都競馬場でもっと走れていたら?
もしも2020年のヴィクトリアマイルを勝てていたら?
初めてパドックで会えたとき、重賞を勝つ馬だと一目で確信した。
厩舎にタイトルをもたらす馬だとも。
彼女は夢の馬だった。
わたしが彼女を愛しているのは、出会う前からの歴史と思い入れがあったから。
でも知っていたから、強かったから、勝ったから好きになったのではない。
出会ってからはじまった歴史と思い入れがますます愛を深めてくれた。
おてんばだった女の子がお姉さんになって、それでも気の強さはかわらなくて。
だから走った。
とびきりの美人で、愛らしいがんばり屋さん。
競馬場でもオンラインでも「かわいい、かわいい」と彼女を愛でる声がいっぱいきこえてくるのが嬉しかった。
もしもタラレバの夢が叶っていたとしても、彼女は彼女のままだったはず。
いくつもの時代の不運も、彼女が走るのをやめる理由にはならなかったのだから。
だからこんなにも愛されたのだろう。
夢がいったん終わったいま、叶った夢と叶わなかった夢とがないまぜになって、きらきら輝いている。

 

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