うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

三谷幸喜と和解せよ

鎌倉殿の13人がはじまった。
う~ん、時代劇らしからぬ軽妙さ。
この軽妙さは現代劇でこそ活きるのに。
氏の書く奔放な女性がなんとなく苦手で、真田丸は早いうちに脱落してしまった。
その前の新選組!を最後まで楽しめたのは、男たちの硬派な青春物語だったから。
新選組!はかなり好きな大河。

三谷大河の良さは、気安さと見やすさだと思う。大河には本来ないはずのよさ。
もう娯楽として大河ドラマ見てみようなんて新規の人は少数派だもの(たぶん)。
ウラには気安くて見やすい番組が揃ってるし。
みんなそんなに歴史に興味がないのだ。娯楽はほかにいっぱいあるから。
なんせ日曜のご飯どきに結末の決まってる重たいハナシが一年間つづくのだ。
歴史のお勉強になってはいけない。わかりやすさはもちろん、多少なりとも軽くしなきゃついていけまい。
まず興味を引いてたくさん見られるところから。
脱落者を減らすの大前提の作りになっているなぁと年々感じる。物足りなさも感じる。
でもそれはそれでいいのだ、時代の流れだから。
三谷大河は無理なくそこにフィットする。
重さを極限まで削ぎ落とした軽妙なドラマという先入観があるから、心理的なハードルを下げられる。
だから、わかりやすさに全振りするために首チョンパとか言わせる。いいのだそれはそれで。
いにしえの女の人のお歯黒や麻呂眉をはぶいてるのとやってることは一緒だもの。
笑って許せるかどうかは各々の価値観に委ねられてるんだし。

う~ん、これもアリかもな、だんだんおもしろくなって、そのうちストンとくるのかもしれない。
う~んと感じながら観ていいとも思っている。現時点では。
どこかのインタビューで読んだ、エンタメは高尚でなくてよい(意訳)という氏の考えかたにはものすごく共感できたから。
いい意味で心に残らなくて、おもしろかったなぁで終わるようなものを書きたいとの言。
そうそう、そうなんだ、学びとか問題提示とか人生変えるとか、わたしはそんな高尚なことエンタメにはべつに求めてない。
いっとき現実から離れさせてくれるエンタメには癒やしや活力を求めているのに、最近のドラマも漫画も映画もみんな真面目すぎる。それか尖りまくった問題作か。
理解と成長を求めてくる感じがして、やらなきゃいけないお勉強みたいにときどき重たくなる。
書きもしない感想文書くための深読みみたいになってくるのは気のせいだろうか。単に自分が歳をとったからだろうか。それもそうかもしれない。

でもな~やっぱりな~このノリな~。
真面目にやってほしいときにふざけられるとムズムズしてしまう。まだ慣れなくて。
そうじゃない、いまじゃない、いまはちょっとやめて、フフっ… と心のワキがくすぐったい小一時間。
とかなんとかいいながら、ラストの新世界よりに心をつかまれてしまったのでたぶん次も観る。
平清盛のタルカスを思い出して熱くなった。
あのドラマも賛否あったけどわたしは好きだったな。源平つながりで。
またおもしろい鎌倉創世の物語が見たい。