アスリートでもアーティストでもインフルエンサーでもないふつうの人間が他人から認められるには、もうずっと、結婚か仕事がいちばんたしかでやさしい方法なのだろう。
選び選ばれて、欲し必要とされて、家庭や社会での役割を得てそうして、これがわたしの生きる道だと納得して生きていくのだ。
どちらからもドロップアウトしたわたしは、他人からの承認だったり自分が生きていく意義を趣味に見いだそうとした。
でも趣味との向き合いかたは年月の経過や歳をとることで変わっていく。
わたしはいずれこの趣味を卒業するかもしれない。
そうしたら、なにもなくなる。
役割を持たず、誰からも必要とされず、ただ歳をとっていくだけの人間になる。
今まで来た道よりもこれから行く道のほうが長いのに。
なぜ生きているのか、なんのために生きていくのか、どうやって納得していこう。
また新しい趣味を増やすだろうか。その繰り返しだろうか。
価値のある何者かになるなんてとっくにあきらめている。これから欲しいのは納得だ。
四十の扉が開いてもう怖いものは何もないと確かに思えたのに、迷いそのものはかたちを変えてつづいていく。
