うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

世界から離れて、わたしの暮らしに

落ち込む時間がまた多くなっていた。
無力感と、やるせなさと、好きなものが世界とともに傷ついていく悲しさと、人と人とがすれ違うむなしさとで。
なにも言わないからなにも思っていないわけじゃない。
でもそれを、誰も傷つけずに、怒らせずに、うまく話す自信もない。
言葉と時間と誠意を尽くしていちからすべて話さなければいけないし、それを聞いてもらえるとは限らないし、理解されるとも限らないし、部分的に切り取られて違う解釈をされる可能性もある。
価値観や、見て聞いて触れてきたものの違いから対立することだってありうる。
だからもう、自分以外の誰かにこの胸のうちを明かして、つらさを受け入れてもらおうと思うのはいったんやめにした。
自分の気持ちは自分で楽にしようと決めた。せめて心を病まないように。
悲しんで、憤って、絶望して、いろんなことを思ったり考えたりするのはもうやめられないけれど、そればかりにずっと深くとらわれつづけるのはいったんやめにした。
罪悪感や苦しみから情報の海へと潜っていくのもやめた。ひとりでに見えてくるものを、できるだけフラットな視点と気持ちでとらえられるように。
そう決めるとほんのちょっと肩の荷がおりた。
どれだけここでなにかを思い感じても、なにもできないことに変わりはないのだ。
できる範囲のことをして、わたしはわたしの暮らしを維持していくだけ。
毎日食べて寝て仕事して生きていくしかない。それができる環境にいるのだから。