うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

大好きな漫画描いた人が、ニッチなすけべ漫画描いてた

やっぱり、すけべなのが描きたかったんだね。

前からところどころに狙ったようなあざとい描写もあったけど、題材がまっとうだったし、エッセンス程度によく抑えられてたから目をつぶれてた。
男の子向け雑誌で連載してたらそういう要素も必要だろうし。
連載はほんとうに清いままで終わって、きちんと畳んでくれて、終盤は涙さえ出た。
ときどき読み返しては元気をもらう、大好きな漫画。
先日また読み返してて、ふと作者の近況が気になった。
ツイッターアカウントがあることも、連載中に病を患ってたことも知ってたから、「生きててくれ〜!」と祈るような気持ち。
すぐ出てきた。
アカウントで新作のサンプルあげてる。
……え???

ほんっとうに勝手な話なんだけど、大好きな漫画で感動した気持ちに嘘はないのに、それすら塗り替えられそうなショックを受けてしまった。
ウブなネンネじゃあるまいし。
すけべな漫画が悪いと言いたいのでも、思ってるのでもない。
個人的に自分が成人向け漫画苦手ってだけの話。
きちんと棲み分けさえしてくれればいい。そしたら避けられるから。
でも、描いてるのをうっかり知ってしまった。
大好きな漫画の、あの時折あざとさを感じる描写も、実はほんとに描きたい嗜好や衝動を抑えに抑えて小出しにして描いてたんだなとわかると、なんとなくあの清らかな登場人物たちを後づけで汚されたように感じてしまうのだった。
そうだったのか〜と一度腑に落ちると、もうそうとしか思えなくなる。
勝手だね!ごめんなさい!!
大好きな漫画と同時に持ってた連載はどうやら打ち切りになったらしい。そして移籍。
単行本は一冊しか出てなくて、完結したら読もうと思ってたけど、それは二度と叶わなくなった。

新作の読み切りは読んでない。
読めなかった。
うっかりサンプルのツイートが目に入ってしまっただけで、その下に吊り下がるツリーも読めなかった。
むり。心がしんだ。
ああ知りとうなかった知りとうなかった。
せめて名義が変わっていれば知ることもなかったのに。
すけべに移行するときは名義変えてほしい。
いまは子どもでもスマホで検索できる時代だし、ショック受ける人それなりに多いんじゃないかな。たぶん。
(バーコードファイターの人はそうしてくれてたのでぜんぜん許せる)
「作品と作者は切り離せるか」はよく議論にあがる普遍的な問題だけれど、わたしはどうしても脳内でぜんぶつながっちゃうのでな。
八雲さんが作者の脳内で実はああなってたのかもしれん、雑誌が時期が違ってたらすけべなことさせられてたのかもしれん、と思うときつくて耐えられなかった。
勝手だね!ごめんなさい!!
そこはプロとして、暴走せず混同せず作品を完結させてくださったことに感謝しかないです。

人は変わるんだ。
まして生活や金がかかればなおのこと。
いや、ほんとはすけべのほうを描きたかったみたいです。
ですよね…。
でも描かれたものは色褪せない。感動した気持ちにも嘘はない。
すけべ漫画のほうが好きだという人もいっぱいいるだろう。
だから思い出は美しいままでしまっておこう。
さようなら、さようなら。たくさんの夢と感動と癒しをありがとう。