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うまいこといえない。

うまいこといえないひとがつたないなりに何かを残し誰かに伝えたいブログ。

障害騎手と行く!バックヤードツアーに参加してきました。

阪神スプリングジャンプにはもうひとつの目玉があった。

『障害騎手と一緒に、障害コースを探検しよう!』

戦い終えた出走馬たちが駆け抜けたコースをジョッキーたちと一緒に歩ける、ハードルファンにとってはたまらないツアーだ。
最愛の馬を応援しにきたこの日、幸運にも初めて狭き門をくぐることができた。
ねんごろに応募してもなかなか当たらないのだ、これが。

 

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最終レース終了後、集合場所で点呼をとってパスを首から下げる。

参加ジョッキーは9名(着順に記載、括弧内は当レースの騎乗馬)。

西谷誠騎手(サナシオン)
平沢健治騎手(ヴィーヴァギブソン)
高田潤騎手(オースミムーン)
植野貴也騎手(マイネルフィエスタ)
浜野谷憲尚騎手(クリノダイコクテン)
黒岩悠騎手(ラガートモヒーロ)
森一馬騎手(ダンツミュータント)
小坂忠士騎手(ニジブルーム)
山本康志騎手(ティリアンパープル)

アップトゥデイトの白浜騎手は残念ながら不在。
いらしたら同馬のお話をぜひうかがいたかった。

おもに高田騎手と森騎手が先導して、雑談もまじえつつ障害競走やコース形態についてレクチャー。
イベント中は同行ジョッキーに質問をしたり会話をするのも自由。
単身での参加ということで憧れの障害ジョッキーたちを前になかなか勇気が出ず、いざこういう機会がめぐってきたらあんなに訊こう訊こうと思っていたあれやこれやが驚くほど浮かんでこないもので…
ほかの参加者の方は二度目、三度目という猛者もいらしたようで積極的にコンタクトをとっていた。
たとえば断片的に聞こえてきた話題だと、日本と外国の障害競走の違いなど。
向こうは最初から強い障害馬を作るために交配する、等々。
また、高田騎手いわくオースミムーンは「大外枠が響いた」とのこと。
(こんなこと訊いたら失礼にあたるのではないか…答えがいのある質問をしたいと思うのに考えが全然まとまらない…)
なんて後込みしてしまったことが悔やまれる。こういうときは遠慮をしてはいけない(自戒)。

一行は地下馬道を通って襷コースに入り、まずは竹柵障害へ。

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竹柵越しの西谷誠騎手と黒岩悠騎手。
本日の主役は、人の輪からは少し離れた場所で静かに佇んでいることが多かった。
シャイで寡黙な方なのかもしれない。
レース後に繰り出す熱いガッツポーズそのままのイメージを抱いていたので、少し意外だった。
とはいえ受け答えはしっかりしていて、いかにも理知的な印象。

 

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なにやらジョッキーみずから踏み切ってジャンプしたいという雰囲気に(毎年恒例らしい)。

 

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見事な飛越を披露する植野騎手。
馬はもちろんジョッキーの身体能力も素晴らしい。

 

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つづいてグリーンウォールへ。
プラスチックの草が植わっている。硬そう。

 

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コース全体をのぞむ。
芝は枯れかかっている。
クッションがきいており思った以上に足をとられる。
小一時間歩いてそこそこの運動になった。
人馬はこの長丁場をものの一瞬で駆け抜ける。

 

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ふたつの障害を反対側から。

 

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生垣障害に到着。

 

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間近でみてみると、竹柵やグリーンウォールよりもさらに奥行きがある。
ここで「踏み切りはどこから?」という質問に対する答え。

置き障害から測って、長身の西谷騎手が大股でおよそ三歩ほど下がった地点で、蹄の深く沈んだ跡も残っていた。
その昔はもっと後ろから踏み切る馬もいたそうな。
文面だとイメージしづらいが、実際に立ってもらった様子をみてみるとかなり遠い。
そして映像で観ていると、近そうにみえる場所から実に簡単そうに跳ぶ。
直前で踏み切りの脚とタイミングが合わないこともやはりあるそうで、そういうときは「目をギュッとつぶって“頼む!!”と祈りながら跳ぶ」とのこと。
跳ぶ馬も跳ばす騎手もすごいの一言。

ツアーもいよいよ終盤。
一行は再び地下馬道を通って終着点、ウイナーズサークルへ。
ここでなんと、阪神スプリングジャンプ出走馬のサイン入りゼッケンをプレゼントします!との嬉しいはからいが。
ジャンケンでの抽選会。
当方の希望はもちろんアップトゥデイト
ところが同馬は案の定人気が集中して…

 

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紆余曲折を経てマイネルフィエスタのゼッケンをいただいた。
サインを入れて手渡ししてくださった植野騎手はツアー中もとても明るく、やりとりしてみると思ったとおりの実直な人柄。

「この馬はいずれオープンを勝つので!このゼッケンに価値が出るよう頑張ります!」

と力強くお話いただけた。

恥ずかしながらこれまでの私にとっての競馬は“好きなひとや馬の周りだけ”で、好きを掘り下げることに拘泥するあまり、目の前に大きく広がる世界を持て余していた。
最愛のジョッキーが現役を退き、しかし彼の残した馬や彼と信念を分かち合ったホースマンたちが競馬との縁を繋ぎとめてくれ、やがてアップトゥデイトが障害競走の世界へ深くいざなってくれた。
それでもなお狭い視野にとどまっていた私が、競馬の世界において再び出会った“好きで応援したいジョッキー”が植野騎手だったといえる。
認識していることと知ることとは似て非なるもので、ひとを知る、ひとと知り合う、ひとを好きになるというのはなんらかの縁があってのものなのだ。
きっかけがなければ知れないし、知らなければ好きになれない。
縁あってアップトゥデイトを応援しにきたこの日、数々の幸運にめぐまれて、こうして新しい縁をも持ち帰ることができた。

 

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マイネルフィエスタ。
これから人馬ともども応援していきたい。

最後にジョッキーひとりひとりのコメントをもってツアーは終了。

「若い障害騎手が少ないので乗り手を増やしてもっと盛り上げていきたい」

という騎手。

「障害が盛り上がれば4Rのような早い時間でなくもっとメインに近い時間で開催できるはず。

 だからぜひ馬券を買って応援してほしい」

という騎手。

「競馬場ごとのコース特性を知れば奥が深く、さらに観るのが面白くなるのでコースにも着目してみて」

という騎手…

障害騎手のみなさんは自分たちの仕事に誇りを持っていて、自分たちと愛すべき馬とともに命をかけて臨む障害競走をたくさんのひとに知ってほしい、興味を持ってほしい、観て楽しんでほしいと切実に願っている。
バックヤードツアーに参加してみて分かったのは、ジョッキーのみなさんは本業の合間に心を砕いて、ファンによかれ自分たちの仕事によかれと自発的に動いてくれている、ということ。
とてもありがたい、感謝してしかるべきことだと。
間近に接してみて、このひとたちは生粋の職人だなぁ、かっこいいひとたちだなぁ、とあらためて惚れ直したのだった。

聞くところによればこの日のツアー参加者40名に対し、応募総数は実に300オーバーだったそう。
現地に来るような競馬ファンは潜在的にジャンプレースに興味津々とみた。
そういう未知数のひとたちを引き込むことができれば障害競走の未来は明るいはず。
障害競走の、そしてすべての人馬の幸と発展を願う。