うまいことはいえないが。

書きたいように書いていたい。自分を救いたい。誰かになにかを伝えたい。

もうや〜めた!会社の飲み会

会社の飲み会が昔から苦手だった。
それなりにうまくやれてはいたと思う。お酒も飲めるし、話だって適当に合わせられる。二次会の接待カラオケもどちらかといえば得意。
でも無意味だ、と終わった後はいつも心がすり減って、やっぱり無駄だったなと後悔してしまう。
わざわざ職場から飛び出してるのに、せっかくみんなでおいしいもの食べているのに、話題のほとんどがこの場にいない人の噂の裏づけと仕事の愚痴だなんて。
そんな社外報告会にどうしても意味を見出せなかった。
会社を離れたって、会社の人が集って会社の話をしたら、そこが会社になる。

わたしはもっと、好きなものは何かとか、休みの日の過ごしかたとか、仕事と会社を離れた個人の話がしたかった。しようと思って参加していた。いつだって。
だけど訊かれたことといえばパートナーの有無と、今までの交際歴、恋人を作る気はないのか、これから結婚するのかしないのか、子どもはあきらめたのか。
わたしは共同生活に向かず子どもが苦手なので結婚をするつもりがなかったしこれからも誰かとつきあうつもりはないのだ、とうっかり話してしまったものだから、そこからお説教タイムがはじまってしまった。
恋愛はいいものだよ。あなたがひとりでいるのを淋しいと思うのなら人と出会ってまずはつきあってみなきゃ。マッチングアプリ入れなさい。誰かと出会いなさい。何歳からでも遅くないよ。好きな人とはいつだって会っていたいでしょ。好きってそういうことでしょ。それを束縛だなんて、あなた。

話が通じない。
恋愛至上主義の人は独り者の言い分を訊かない。聞こえないみたいにふるまいながら自分の意見を押しつけてくる。ひとりが淋しいにちがいないと決めつけてくる。
うっかり馬鹿正直に答えてしまったのは、わたしもちょっとは期待をしていからだ。この人たちならわかってくれるかも、と。
もう結婚を期待される歳は過ぎたからと油断した。
だけど結婚と恋愛の話だけは、歳をとっても話題が尽きないものらしい。
大多数の勤め人にとってはこれがベスト飲みニケーションなんだろう。
合わない。やっぱり好きじゃないや。会社の飲み会。
外へ出ても会社の話と結婚と恋愛の話しかないのなら、わたしには話せることが何もない。行ったって無意味。無駄。
みんな、べつにわたしじゃなくってもいいんだ。わたしがいようがいまいが関係ない。
みんな、特定の誰かと個人的な話がしたいんじゃなくって、なんとなくしゃべって酒が飲みたいだけなのだ。会社の愚痴と同僚の噂と、ひとさまの家庭や恋愛事情を酒の肴にしながら。
そうしてなんとなく仲良くなったような感じになりたいのだ。
みんな、ひとりが怖いんだろう。
そっか、だから大多数のみんなには恋愛が必要なんだ。パートナーが必要なんだ。うまくやっていくために。
わたしには必要のないもの。わたしは少数派だ。みんなとうまくいくわけがなかった。

あ〜あ、やっぱりあんまり食べられなかったな。気を遣ってばっかりで。
安酒を何杯か飲んだだけできっちり割り勘分を払うことになった。食べ物は終始あんまりまわってこず、はっきりいって割に合わない勘定だった。さして親しくもない間柄での飲み会は飲み放題つきコースにしてほしいと心底思う。わたしが幹事ならそうする。少なくとも食べ物は平等に行きわたるし、取り分けや配膳で誰かが動かざるをえないシーンも最小限になるから。
自分ひとりで飲み食いするときには絶対に使えないだけのお金を払って、ただただ疲れて、そそくさと帰った。
わたしは失敗したんだと思う。
うまく話せなかった。話したいと思えなかった。
うまくやれなかったわたしはこの会社の中で、偏屈な女、ひとりで淋しい女、というタグづけをされるだろう。
もう無理はしない。ほんとのことだもん。淋しいっていうのは向こうの決めつけだけどね。
遅れてあとから怒りがわいてくるのと一緒にお腹がすいてきたので、帰りのマクドで食べなおした。
ひとりで好きに飲み食いするハンバーガーとポテトがおいしかった。
コーラだってつきあいで飲む酒よりよっぽどおいしい。
お腹いっぱいになったら怒りはちょっとずつおさまっていった。あきらめの感情と一緒に落ち着いていった。
それセクハラですよ〜。その話ちょっとしんどいで〜す。って言えばよかったのかなあ。めんどくさいから言わないし、わからない人に言いたくもないけど。
なんだったんだろうなあ、あの時間は。