うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

いざ、夢を叶えに

「クラシックへ行きたい」
だから管理馬には芝で走ってほしいと指揮官から訊けたとき、震えるくらい嬉しかった。
この人の夢をずっと応援しようと心に決め、きっと叶うと確信した瞬間だった。
エスポワールシチーのころの対談だったから、かれこれ十年ほど前の言葉になる。

時は過ぎて2017年冬、陣営は夢を掴む目前のところにまで迫っていた。
しかし2歳G1の抽選に惜しくも漏れ、その後挫跖の影響などもあり、翌年の桜花賞への出走はかなわなかった。
悔しかったけれど、もしも望み通りの路線を歩めていたら彼女の競走生活は全く違うものになっていたのかもしれない。
丁寧に、ひたむきに、我が道を歩み続けてきたからこそ今がある。
よりよい未来を掴みとったのだ。そう信じて疑わない。

2020年。サウンドキアラは5歳になった。
瞳に母の面影を宿す天才少女は、たくさんの人馬と出会って磨かれて大人になり、さらに輝きを増した。
もうクラシックではない。でもあの夢のつづきだ。
いや、もっともっと価値ある挑戦だ。
これまでの積み重ねと総決算、新たな夢への通過点として。
ヴィクトリアマイルを勝ってほしい。
今の彼女たちにはその資格も実力もある。
昨年の完敗と健闘を糧に、いまや堂々と望める立場となったのだから。

夢を叶えに行く。
彼女たちの戦いを見届けに行く。
たとえ体は府中へ駆けつけられずとも、せめて心は一緒に。

 

f:id:satoe1981:20200514193128j:plain