うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

なめたらいかんぜよ

ぶつかりおじさんに遭遇した。
自転車だけど。
実在するんだわ、ぶつかりおじさん。いや、当たり屋だ、あれは。
向こうからぶつかってきながら、わざわざ追いかけてきて、追い越してきて、因縁をつけて絡んできた。ネチネチと朝っぱらからウザ絡みである。
泣いて土下座でもしてほしかったのだろうか。
自分の家庭だか仕事だか人生だかがうまくいっていないイライラを通りすがりの女にぶつけて八つ当たりしないでほしい。
べつにこっちは悪くないから卑屈になる必要もつもりもない。
でも物理的にも精神的にも見ず知らずの人間から100パーセントの悪意をぶつけられると、さすがに削られるし凹む。
たぶん見た目でなめられるのだと思われる。
こういうことはちょくちょくあった。
いやだなあ、こんなろくでもないやくざみたいなおっさんの捌け口にされるの。
悲しいかなこの世の中には、気弱そうな女というだけでなめてくるやつがいる。
自分より弱そうなやつならなめてもいいと思っているやつがいる。
気弱そうな見た目と女というだけでなめられて加害されて、それも当て逃げみたいなやり方だからやられっぱなしで、黙って耐えるか諦めるしかなくて気持ちのやり場がない。
こういうのってひどく尊厳を傷つけられた感じがする。
相手がくだらないからこそダメージが大きい。正直しんどい。
夢にも思わなかったもの。
四十も過ぎて、女であることで、男に傷つけられるなんて。
なめてるよなあ。
なめてるんだわ。
痴漢してきた変質者も。
いじめてきた男子も。
愛人契約を持ちかけてきたおじさまも。
パワハラしてきた先輩も。
セクハラしてきた上司も。
挨拶しても会釈ひとつ返さない団地の年寄りも。
束縛して趣味を奪おうとしてきた交際相手も。
不倫して家族を捨てた父も。
みんな、なめているのだ。女を。
悲しいかな、そういうなめたやつが世の中には、いる。
なめやがって、なめやがって、なめやがって。誰も彼も。
悔しい。
女だからという理由でなめられたくない。
卑屈になりたくない。怯えたくない。落ち込みたくない。怒りたくない。
毅然としていたい。人間として。