応援
知ろうとする、解ろうとする、想い描く。
きっと誰もがそうして、好きなものと向き合っていく。
なぜなら彼には未来があるのだから。
誰にも何ものにも媚びずに、やりたい仕事をやる。
濃密で、幸せで、そして苦しくて、淋しかった。
互いに信頼しあうには、やはりともに戦って勝利を掴むこと。
名コンビになっていってほしい。
障害騎手林満明なくして、最優秀障害馬アップトゥデイトはなかった。
柵を隔てて見ている自分も、彼らを信じている。
帰ってきてくれてありがとう。
はじめて神をあらわす言葉で競走馬を称えたいと思った。
3900メートルの遥かな道のりを、ふたり旅で駆け抜けた。
競馬史上に残る名勝負誕生の瞬間だった。
トップスピードで走り続けられる馬などいない。
願わくば桜の下に集えるように。
喜びを分かち合う彼らは、確かに心が通じ合っていた。
好きにするから、勝手を押しつけない。
大切なものは形を整えて綺麗にしまっておくのだ。
気がつけば彼女と彼の競馬の虜となっていた。
瞳に力のこもった、ちょっと怖い顔。
“好き”に理由なんていらない。
ともに信念を分かちあった彼らのあいだに言葉はいらなかった。
数々の数奇な縁をつなぎ合わせた先に未来と栄光があったのだ。
敗者もまた勇敢な挑戦者なのだ。
涙をのむこともまた競馬と向き合うことだと思い知らされた春だった。
アップトゥデイトはまた勝てる。勝つための競馬ができる。
三度目のこの日も笑顔で迎えたい。
幸せだったと彼はいう。
愛したものたちと記憶の中でくらいは会いたいのだ。
これまでがそうであったように、今とこれからも信じたい。