うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

うらやましいといえなかった

それはそっちじゃないか、と思いながらも、見下すとか見下されてるってそもそもなんだろうと考えていた。
わたしは普通の人間になれなくて、そのことにずっと勝手に傷ついてきたんだとようやく自覚した。
見下してる、と言われたおかげで。
普通じゃないから特別とかそういう意味じゃない。
人として欠落したまま歳だけ重ねてしまったという負い目だ。
望んでるわけでもないものが手に入らないことに苦しんで、羨んでるわけでもないものになれないことに劣等感を覚えて、勝手に世界を恨んで、人を遠ざけて、自分を追いつめていた。消えてしまいたかった。
わたしがなれなかった何者かになっていく人たちを横目で見ながら、ずっと自分を卑下しつづけてきた。
それが人から見れば人を見下してるということになるのなら、そうなんだろう。
ひとりでは生きていけないから家族と暮らしを共にしているし、人を見下せるような高尚な人間でもない。
でも、誰かひとりにでもそう感じさせてしまったのなら、そうなんだろう。
わたしはただうらやましかっただけだ。
最初からそう言えればよかったのかもしれない。