それともスルーできない私が悪いのか。
「受けとる側が嫌だと感じたら」なんて言うけれど、だいたいの場合は相手に悪気はない。
どころか、100%の善意で接してくれている。
悪い人じゃない。感覚が古いというだけ。
たぶん愛すべき人だ。今までそうやってきたんだろう。
そういう人だからとありがたく受け入れられない私が神経質なのだ。
世間の基準でいえばそりゃあアウトだろう。
でも入ったばかりで波風立てたくない。
いや、これは、こんな人と場所から逃げるチャンスかもしれない。
でもこんなことはきっとどこにでもあって、ここで堪えられないものをよそで堪えられるだろうか。
また一からやり直して、はたして次の場所が大丈夫という保証はあるんだろうか。
私が変わらなければ、何も変わらないんじゃないだろうか。
私が変わるとは、嫌なことを笑ってスルーすることだろうか。
セクハラに遭うまでは、私にはそれができると思っていた。
でもどうやらできていなかったようで、いま私の胸と頭と心の中はやり場のない憤りで渦巻いている。
時間差で、いまにも噴きあがりそうになっている。
誰にも言っていない。家族にも。
たぶん「こんなことはどこにでもあって、笑ってスルーするしかない。あなたはもういい歳なんだから」というようなことを言うだろう。
そのとおりだと思う。それは違うし嫌だとも思う。
そんなことを家族には言わせたくないし、思わせたくない。
だからわたしはひとりで乗り越えなければならない。
だから今ものすごく考えている。
このままつづけて、笑ってスルーするのか。
堪えられない自分自身を認めるのか。
私だって、こんなしょうもないことで仕事が嫌になりたくない。
他は申し分ない職場なのだ。こんなことで嫌になりたくない。
でも嫌でたまらなかった。その気持ちに嘘はない。
みんな、こんなことを大なり小なり堪えているんだろうか。
私にできるだろうか。やらなきゃならないんだろうか。女に生まれたから。
嫌だな。しんどいな。お前のせいだよ。そう言えたらいいのに。
