うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

母との四十余年を想う

わたしは母が怖かった。ずっと。
とても愛しているけど、人間同士としてはどうも合わない。価値観が違いすぎる。そのことがふたりの関係性を難しくし、わたしを苦しめつづけた。
だけどがっかりされたくなかった。心配をかけたくなかった。喜んでほしかった。
結婚をして子を産んでみせられなかったこと、親孝行ができなかったことを、ずっと負い目に感じながら生きていくんだろう。
たとえわたし自身がそれを望まなかったのだとしても。母がはじめから赦してくれているのがわかっていたとしても。
母はわたしの最大の愛であり、呪いでもあるのだと思う。
なおこの「呪い」にネガティブな意味はない。
呪縛に近いのかな。でも縛られてるとはまったく思っていないからそれもちょっと違う。
「絆し」がしっくりくるかな。家族って、「絆」というよりそっちに近い。
だからほんとうは離れたほうがいいのかもしれないけれど、それもままならない今なので。
どこかでもう一度家から離れてひとりになる、という道を選んでもいいのかもしれない。
いずれは戻ってきて、最後まで一緒にいるのだから。
わたしはわたしのためにもう一度、ちゃんとひとりになりたいと思う。いつかどこかで。
そのために自分と向き合って、力をつけていきたい。
そうすれば母もいくらか安心するだろう。