うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

春の陽気に誘われて、外へ

春がきた。
プロ野球が開幕した。
スポーツとエンターテイメントが楽しい。
毎週観てるのは鎌倉殿の13人、ダイの大冒険、暴太郎戦隊ドンブラザーズ。
進撃の巨人はいったん終わって来年まで待機。
漫画はゴールデンカムイの最終回を心待ちにしている。ほんとにあと2回で完結するの!? 単行本で大量加筆!? どうしよう!!
ご飯をおいしく食べながらナイターを観たり、部屋でコーヒー淹れてお菓子食べながら本を読んだりつづきもののアニメを観たりしていると、しおしおになっていた心が栄養を吸ってみずみずしさをとりもどしていくよう。
エンタメの力は偉大なり。

いろんなことが重なってここ一、二年のあいだ半引きこもり状態だ。
仕事にはずっと行っているのだけれど。
これでもかなり快復して「読む、見る、書く、買う、食べる」は楽しめるようになった。
ただ外へ出かけて、自分が何かをすることができなくなったまま。
その最たるものが競馬場へ行って好きな人馬を応援したり、写真を撮って楽しむことだ。
新しい思い出を作りに行けないから、今は思い出の貯金を切り崩しながらかろうじて競馬とつながっている。
正直なところ、趣味としてはもう潮時かもなぁと思っていた。
この世界のいいこともそうでないこともいっぱい見てきた。聞いてきた。わかってきた。
闇や膿のようなものが思いがけず見えてしまったり、聞こえてしまったり、知ってしまったり。
競馬がつづく限りくりかえされる、たくさんの愛する人馬との別れに疲れがたまっていたのもたしか。
もうやめてしまおうか。でも応援対象への愛はぜんぜん変わらない。
大好きな馬、尊敬する人。彼らの無事と最善を祈り願ってやまない。
だから自分はもう動けずとも心の応援をつづけていく、でいいかもなぁと。
先生には芝のG1と障害の重賞をとってほしいし、その瞬間には立ち合いたい。
ダービーを勝ちたい、競馬人としてクラシックは夢だと語っていたので、それもとってほしいし、夢は叶うと心から信じている。
これは愛だ。趣味の域を越えてしまったのかもしれない。
力が出なくなってしまったのは、信じるゆえにただただ楽しいだけではなくなってしまったからでもある。
愛は自他を重たくもするのだ。
心が弱ったわたしは、身動きがとれなくなってしまった。

とはいえ、いつかは外へ出なければ。
自分からなにかをしなければ、わたしはわたしの人生を自分でつまらないものにしてしまう。
ひとまず春の陽気に誘われて、リニューアルオープンした長居植物園に花を愛でに行ってみた。
草と花と土の匂い、風の香り。
木漏れ日、青い空、鳥の声。
季節はうつろい、美しいものたちはすぐそばにあったのに、出向いていけなかったとあらためて実感する。
すがすがしさに満たされつつも、ふとした瞬間にコロナや戦争のことが頭をかすめて、こんなことをしていてもいいのかという思いがよぎる。
震災のときもそうだった。なんて心が弱いんだろう。
心が弱いくせに、たくさんとりこんで、感じすぎてしまう。
痛みを感じることは必要だけれど、切り離さなければならない領域というのは間違いなくある。
まずは自分自身が健康に生きていくために。
名前のつく病気というのは、病院に通ったり、薬を飲んだり、お医者さんを頼らねばならない状態を指すのだと思うけれど、こうして前の気持ちと暮らしに戻れないでいることもある意味病気だとは思う。
この無名の病気は幸いにも自分でなんとかできそうなので、少しずつリハビリをしていこうと決めた。
今日は公園で花の写真が撮れたから、来週はいよいよ競馬場へ行こう。もちろんカメラを持って。
まだまだこんなご時世だから、入場券がとれたらになるけれど。

 

f:id:satoe1981:20220417225224j:plain