うまいことはいえないが。

書きたいように書いていたい。自分を救いたい。誰かになにかを伝えたい。

「嫌いで苦手やけど赦すわ」ってはなし

子どもが苦手だ。
自分が子どものときから変わらないから、基本的に相容れない存在なんだろう。
どうも「話の通じない相手」が苦手みたい。
自分の話ばっかりして人の話を訊けない職場のおねえさまも。
もうこれ以上日本語は上達しないだろう、職場の外国人の先輩も。
酒に酔ってたびたび記憶喪失になる母も。
そして、子ども。
意思の疎通が難しい、コミュニケーションのとれない相手と話したり協力したり、居合わせたりするシチュエーションが怖い。
失敗したらどうしよう。わめかれたり怒鳴られたり泣かれたりしたらどうしよう。ああイライラしてしまってどうしよう。不安でたまらなくなる。

ランチに行ったお店で子連れのファミリーと一緒になった。
若い夫婦に連れられてきた幼児ふたりは知らない場所へのお出かけに興奮した様子で、甲高く大きな声をしきりにあげていた。子どもって落ち着くまでとりあえずうろうろして騒ぐよね。
両親は時折たしなめはするものの、特に叱ったりはしない。
ああ、せっかくランチにきたのに。ゆっくり静かに食べたかったな。
わたしがあれくらいの頃あんなに騒いでたら母にめちゃくちゃ叱られたのにな。今の育児ってほんとに叱らないんだ。
やだな、騒がしいな。やだな、耳が痛いな。やだな、やだな、狭い店内に逃げ場はない。
ちょっと一声かけてもいいやろか。ま、わざわざそんなことぜったいにしないけど。思うくらいならいいでしょ。
子どもはやがて落ち着いたけど、わたしの心は不安とイライラですっかりざわついてしまった。
食べたらすぐに店を出た。なんだか疲れてしまった。まあ、個人店にひとりで食べに行ったらよくあることだ。もう慣れっこだ。

「子は宝」というし、大事な存在だと頭では分かっている。
嫌いで苦手だけど、尊重しようと心がけている。
だからいちいち外で好悪や不快を公言したり、目くじらを立てて注意したり、ネットに晒してやろうとかあげつらって批判してやろうとも思わない。
だけどそれとこれとアレと、自分が彼らを好きでかわいいと感じられるかどうかは別の話でいいんだよ。
わたしは子どもが嫌いで苦手だ。だけどこんな自分も、子育てに一生懸命な保護者さんも、子どもの子どもたるところも、誰のことも赦そうと思っているよ。