うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

いつかはひとりに

人間やるのがへたくそすぎる。
組織に向いてないのと「気にしい」すぎる性分とで、ずっと漠然とした不安とともに生きている。
物心ついたころから「この先どうやって生きていくんだろう」と思いつづけてきた。
生まれもった性質は変わらない。
これでもだいぶ前向きにはなったのだけど、生きづらさは正直ある。

人間に向いてない。だからひとりで生きていくのがベストなんだろう。
さりとて富んでるでもなし、秀でた能力があるでもなし。
だから家族と身を寄せあって暮らしている。なんとか生きている。
生きてるから生きてるって感じ。生まれてきた義務として。
おなじ生きねばならないのなら、しんどくないように工夫して、なにか楽しいことをしたい。
それだけといえばそれだけ。

パートナーだったり子どもがいれば、誰か何かのために生きていくって思えたのかもしれない。
それはいい人生だったのかもしれない。
心がそれを望まなかったから得なかった。
自分のために働いて稼いで払うものを払って食べて寝て暮らして、わずかに残ったお金をささやかな楽しみに充てる。
とるにたらない人生だ。なんなんだろう、いてもいなくてもおんなじだなぁ、とは思う。
いまは家族と暮らしてるので、家族とうまくやりたい。
家族だって、家族だからこそ難しい。会社が難しいのとおなじだ。

弟に彼女ができたらしい。
まだまだつきあいはじめたばっかりで結婚するかどうかもわからないのに、望めるなら血を分けた子どもが見たいと母は言った。
やっぱり、親っていうのは、そうなんだなと思った。
母はわたしの価値観や生き方を尊重してくれたけれど、望めるなら望むんだ、そうなんだ、と。
なんだか力が抜けてしまった。
それならいつかはひとりになりたい、という気持ちがごまかせなくなった。
ここで母を看取って死ぬのだと覚悟を決めていたけれど、できることなら一度どこかのタイミングでひとりになりたい。

ひとりになって自由になりたい。
家族から。会社から。仕事から。社会から。
覚悟も準備もいるけれど、いずれ戻ってくるにしても、ひとりをもう一度やりたい。
それこそが、挫折と失敗をして出戻ったわたしがずっとごまかしつづけてきた望み。
叶うのか、叶えられるのか、叶えるために動くのか。決めるのは自分だ。
そうか、自由なんだ。いまのところは。
さあ、どうしようか。