うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

弱虫ペダルとわたしと2022年

仕事と私生活があかんなってた時期はアプリで漫画読んでました。
主にLINEコミックスで。2022年はエンタメに救われた。
なかでも弱虫ペダルにハマりました。
ハマるといっても、自転車買うとか推しができたとかグッズ集めるとか、二次創作するとか、そういうんではないです。
なんというか、心の支えのひとつになったというか。
何度もアニメ化されてる有名なタイトルだし、弟がロードバイクに乗ってるから、前々から知ってはいたんですよ。
でもあまりにメジャーすぎて避けてた。
正直なところ「お嬢さんがたが熱をあげてるジャンル」っていう偏見があって、たぶん合わないな〜と思い込んでた。
LINEコミックスの中で読みたいものがどんどんなくなっていって、しばらく読み続けられる長編を読みたいなってなって。
それで「ついにこれか、これ、いっとくか」って意を決して。「いっぺん読んでみなきゃわからんよな」って。
あっという間に引き摺り込まれた。
クセが強いなと思ってた絵柄は、味のあるアツい画だった。
なんか、すべてにおいて、想像してたんと違ってた。
メガネの主人公、小野田坂道ははじめからぜんぜん弱虫じゃなかった。むしろ心の強い人だ。(タイトルの由来は他にあるみたいだけど)
ただのスポ根漫画じゃないのがいい。
変に色恋が絡んでこないのも心地よい。
説教くさくないところも気に入っている。
なにより弱虫ペダルは「人間は誰でも間違う。でも誰だっていつだってやり直せる」ことを、人を変え話を変えて、何度も繰り返し描写する。だから心に刻み込まれる。
弱ペダは「失敗と更生」の物語だ。
金城のジャージを掴んで落車させてしまった福富。
故障で野球ができなくなってグレてしまった荒北。
パニックになってコースを逆走してしまった葦木場。
他にもっともっと…枚挙にいとまがないんだけど、印象深いエピソードを挙げてったらハコガクサイドが多いな。人間くさくて魅力的なライバルたち。
総北サイドは失敗や過ちというよりも、挫折とか頓挫とか停滞みたいなののほうが多い。
でもそういうのを、みんな悩み苦しみもがきながら乗り越えていく。
みんな自転車が大好きなのだ。
その乗り越えるかたちのひとつにもちろん勝利があるんだけど、必ずしもすべての努力が報われて、根性で願いが叶うわけではないところもしっかりと描かれる。
想いの強さがすべてを決するわけじゃないのはスポーツの常識。それが完膚なきまでに描かれている。
勝って欲しいキャラほど打ちのめされて負ける。負けっぷりに泣かされるのだ。
だからある程度年齢を重ねてきた人間にはなおさらササる。
弱ペダで今のところいちばん感動したのは何を隠そう、杉元の「一年生」レースだ。読みながら泣いた。
この二年目のインターハイ選考、杉元を落として手嶋を拾わせたのはものすごい絶妙な塩梅だったと思う。
たぶん作者は「凡人」の手嶋を通して描きたいことを描きたかったのだろう。
そのせいで二年目のインターハイ栃木大会はちょっとストレスのたまる展開になってしまった感はある。チームに軋轢が生まれるところとか。
なんせコメント欄でも鏑木か手嶋の代わりに古賀が入ったほうがよかったのでは?なんて言われてる。
わたしは無課金勢だから実はこのインターハイ、二日目で泉田と岸神小鞠がスプリントしてるところで話は止まってるんだけど、最終的に坂道が連覇して総北が勝つという結果だけは知っている。大事なのは、知りたいのはその過程だ。
きっとここからまだまだいろんなことが起こるんだろう。もうすでにいろいろ起こってるんだけど。
これからもなんとか、ママチャリでのんびりと彼らの行方を追いかけていきたい。