うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

やさしくしようよ、大人なら

いまの職場、いままで勤めた中で最悪かもしれない。
とにかく、あたりがきつい。
できないこと、わからないこと、悩むこと、立ち止まることを責められる。
言葉がきつい。感情がきつい。人がきつい。仕事もきつい。
なにもかもがきつい。そういう社風なのだろう。
幸いにもわたしはきつくあたられる対象からは外れてるみたいなんだけど、それでも「なんでそんな言い方すんねん」「ええ〜、そういうこと言うんや…」「なんでそこまで言われなあかんねん」と毎日感じる。
怖いので「上」の顔色をうかがいながら、できるだけ物腰やわらかくして働いている。
これがしんどい。いらぬ労力すぎる。

どうやらわたしは「上のお気に入り」のうちの一人にされてるらしく、なれなれしくもされる。
特別に親しくもない間柄の、ビジネスライクな関係の人にタメ口をきかれるのがとても苦手だ。
大人には遠慮や優しさやほどよい距離感が大事だろうに、だから敬語と丁寧語ってものがあるんだろうに。
フランクさや親しみ、または熱意と勘違いして無遠慮に踏み込んでくるのがほんとうにだめで。
そのなれなれしい口をきいたそばから隣の人をめちゃくちゃに怒るのだから、まるで自分も一緒に怒られてる気分になる。
「ミスしたら次は自分がああされるんやろな」というのは火を見るより明らかだからよけいに。
わたしは他人が怖いし、人を傷つけたり不快な思いをさせるのがおそろしい。
もっというと立ち居振る舞いで嫌われるのは損だし、大人としてはもってのほかだと思っている。
だからあんなふうに感情のおもむくまま言いたいこと言える人をある意味すごいと思う。
価値観があまりにもちがいすぎる。別の星の人なんじゃないかと思う。おとなげなさすぎる。

常に忙しい職場だ。ものをつくる会社はたいていそんな感じ。納期に追われて焦ってる。
いろんな職場を見てきたけど、忙しいながらも活気があって雰囲気のいい会社は人が優しい。常識と良識ある人たちによって支えられている。
そうなのだ。あいさつをする、時間を守る、人にあたらない、人を気づかう。そんなの人間として当たり前のことなのだ。それなのに。
この人たちはイライラしながら一日の大半を過ごすのか。
誰かが怒り、誰かが怒られながら生み出されたものに価値はあるのか。
ここへきてからというもの、気がつけばそんなことばかり考えている。
これが働くってこと、会社というものだというのなら、あまりにもむなしい。
仕事ができたら人を傷つけてもいいなんてぜったいにおかしい。間違ってる。
でも現状ここはそうなのだ。
人の正当性を踏みにじられたり、尊厳を軽んじられたりするのが許せない。
そんな場所で、そんな人たちと力を合わせてこの会社のためにがんばろうとはどうしても思えない。
生活費が稼げればそれでいいのかもしれないけれど、心と体がすり減る。
そして自分の中の正義と良心がそれをよしとしない。

という塩梅で、潮時というものを感じている今日この頃。
誰かを庇って喧嘩になるか、言い返して反感を買うか、キレて帰りますとか言ってしまう前に次へ行ったほうが自分のためかもしれない。
わたしは他人や思想のためならうっかり戦ってしまいがち。宗教にハマったらやばいタイプである。
ここへきたとき「もう二度と就活したくない」「前向きにがんばって生きていこう」と心から思ったのに、ここを終の住処にしたくなさすぎる。
わたしは会社には向いていないが、少なくとも常識と良識は持ちあわせているし、人には優しくしている自負がある。
親しいからでも好きだからでもない。仕事だから。職場だから。そういうもんだろう大人って。
単にこの職場には向かなかっただけだ。
ほんのちょっとのあいだでものすごくつかれてしまった。
でもこの歳でいちからはじめるのはきついものがあるなあ。
もうちょっと様子をみながら、いろいろとこの先の計画とか作戦を練り練りしていくくらいなら、まあいいでしょう。