うまいこといえない。

うまいこといえない人がつたないなりに誰かになにかを伝えるための場所。

セルフドクターストップです

なにげなくKindleを開いたら「戦争は女の顔をしていない」コミカライズの4巻が出ていた。
でも、もう読むのはやめることにした。
またいつかつづきを読むかも知れない。
それが数日後なのか数ヶ月後なのか数年後なのかはわからない。あるいは本当にもう読まないかも知れない。
わたしの心と体のバランスが崩れたのはコロナ禍や公私での躓きが大きかったのだけど、件の軍事侵攻がはじまった影響もあった。
はじまる前からこの本は知っていて読んではいたのだけど、はじまってからはよりつらいものとなった。
頭から離れなくなって、眠れなくなって、読んだことを後悔すらした。けれど読まなかったことにはできない。本とはそういうものだ。
それでも現在進行中の現実と過去に起こった歴史を知らなければならない、触れなければならない、必要なことだからと己の心に鞭打ってきたが、つづきを読んだらきっとまたいちばん弱っていた頃の心と体に戻ってしまう。事実、新しい巻を読むたびに弱りなおしてきた。
これはもはや使命というよりも自傷だと、ようやく受け入れることができた。
今を生きている自分自身を傷つけてまで求める知見じゃないと。弱った心身を叱咤してまで取り込む記憶、覚える感情じゃないと。
もう充分でしょう。つらい時は自分が健やかに生きることを優先すべきだと。だからここでお休み。
すでに原作を読んでいるから、これからコミカライズされる内容はすべて知っている。
その中にどうしても恐ろしくて読めないであろう箇所がある。
男性が戦場の狂気の中で女性を、という男性による証言がある。本文にしてわずか数行。でもここがいちばん恐ろしかった。絵で見られる気がしない。
実際に描かれるかどうかはわからないけど、あるかもしれないのなら読めない。
ごめんなさいもう読めません、と誰にとはなしに謝りたい気持ちにもなる。書いてる、描いてる、話してる人の苦しみには到底及ばないから。わたしごときの苦しみなんて、と誓いを破った自分自身を責める気持ちにもなるのだけど。
人間は変わる。時間と経験を経て、わたしはもうこの本を読める状態ではなくなってしまったから。
いちど原作を隅から隅まで読んだのでどうか赦してくださいね、とこの本に携わった人たちに、そして世界に懺悔をして、わたしはわたしの現実を生きていく。