競馬
稀代の名馬と同じ時代に生きられる奇跡を、ただかみしめていた。
何もできないから、ただ受け入れようと決めた。
喜びも嬉しさも幸せも、元気があってこそ。
信じぬくことに一片の迷いもないレースがあった。
これと思った馬で、勝ちたいレースを勝ったら、それが何より。
あの日出会った2歳の天才少女が大人になった。
泥臭くても、うまくいかなくても、前へ前へと駆けていく姿は美しい。
救いはやはり競馬の中にあったのだ。
この国の騎手として。
みんな誰もが何かを掴むために自分自身と戦っている。
私は、大好きな競馬を宗教にはしたくない。
私は本名で呼びたい。好きならなおのこと。
閉ざされた世界と価値観の中ですこやかな愛は育たない。
どうにもならないことなんて、生きていればいくらでもある。
淋しい別れではなく、新たな門出となるように。
彼らの手がける馬たちはかっこいい。
私の心の中の最も崇高な感情。
積み重ねてきた年月があるからこそ、胸が熱くなる。
事実はひとつだが、答えは人の数だけあればいい。
戴冠から三度目の春とともに絶対王者が帰還した。
私はまだ、これからも、好きな馬を応援できるのだから。
出会った馬を好いて、愛でて、傍にいる人を信じて、尊敬したい。
メイショウアラワシという競走馬がいたことを、私は覚えている。
知ろうとする、解ろうとする、想い描く。
きっと誰もがそうして、好きなものと向き合っていく。
今は彼とともに障害レースを観ているのかもしれません。
なぜなら彼には未来があるのだから。
誰にも何ものにも媚びずに、やりたい仕事をやる。
濃密で、幸せで、そして苦しくて、淋しかった。
互いに信頼しあうには、やはりともに戦って勝利を掴むこと。